
まず、初診は初めての出会いであり、最も大切な時間です。診断や今後の治療の方向性を決めるため十分な診療を心掛けています。現在困っていることの他、生活環境など色々なことをお聞きすることがありますが、これは診断、治療上とても参考になることがあり診療上必要なこととされています。
例えばうつ病やパニック症と診断しても100人いれば100通りの症状、性格、生活背景や社会環境などがあり100通りの治療プログラムが存在すると言えます。他の科と違い心療内科である当院では病気や症状を見るというよりは、「一人の患者さんと向き合い」「その方を診させていただく」ことが重要であると考えております。その上で生物学的、社会学的、病理学的な多面的アプローチが可能と思われます。ICD10、DSM-5などの国際的な診断分類を参考にしつつ、一人一人の様態を把握し治療方針を共に考えていきます。どうしても話にくいことは話さなくても結構です。話せる時期にゆっくり拝聴いたします。
薬物療法、漢方、精神療法(支持的、認知行動療法的アプローチが主体です)、適宜、内観療法や森田療法を参考にし、自律訓練法など病態や体質を考慮した治療も行って行きます。できる限りお困りの症状の改善を急ぎます。一方で、精神症状は波があること、お薬は個人差があり適切、適量な処方に至るまで少々時間をいただくことがあります。通常お薬は少量から開始し、必要最小限を心掛けています。
抗生剤のように原因を取り去るものではありませんが、多くは神経機能の回復を助けて、徐々に減量、中止できる性質のものです。医師とよく相談の上、指示を守って服用すれば多くの場合とても有効と思われます。
治療の主役は患者さんの自己回復力であることが多いと考えております。
時間は心の病気では最も大きな味方です!