自律という文字の通り自分の意志ではコントロールできない神経です。例えば手や足を動かすことは自分の意志でできます。しかし、自立神経は「自律」という文字に表されているように自分の意志ではコントロールできません。例えば「心臓を止めよう」と思っても自分でコントロールして止められる人はいません。脳が意志と関係なく内臓、血管、皮膚など様々な活性器官を支配し、人体の生命維持機能を維持しています。
脳の中では大脳辺縁系、視床下部、大脳新皮質系と密接な関係があるとされています。これらは情動や情報処理などの高度な精神活動を営んでいる部分でありそれぞれが関連して自立神経を営んでいます。直接にコントロールはできませんが、人間の心理に鋭敏に反応しているとも考えられるでしょう。
少し硬い話になりましたが、自律神経失調症は「症状を裏付ける他覚的所見が見いだせず不定な内科的な症状を訴える状態」といえます。1960年台から不定愁訴症候群とも言われてきました。はっきりした原因がわからないため、曖昧な病名として捉えられる側面もあります。
しかし、検査をしてもはっきした所見がでないことは実際の臨床場面ではよくあることです。「ストレスからでしょう」「自律神経から・・」などの会話はよくあることだと思います。おそらく間違ってはいませんし、安心感が得られて快方に向かえばよいのですが、症状が続けばドクターショッピングや薬が不必要に増える可能性がありますし、解決になりません。
まとめますと、自律神経失調症は様々な身体症状を呈する病気ですが、その根底には心の不調が存在すると言えます。従来の心と体を区別する立場から、心療内科を先駆けに心身相関の概念が今日は浸透してきています。本態性の自律神経失調症を除けば、ストレスが大きく関与していると言えます。
自分にとって過度なストレスが続いた場合、適応ができなくなり、ホメオスターシス(生体の恒常性維持機能)が異常を来し、体調の異常が出現します。
自立神経失調症の疑いのある方は、心療内科や精神科にご相談されることをお勧めいたします。男性、女性、性格、年代、家庭、社会背景など個人によって原因や適切な対処法を考える必要があると思われます。
どうぞお大事になさいませ。
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